「今日は散歩に行けたらいいのになぁ...」と、訪問に向かう車の中で先生が言います。
花冷えが少し緩み、穏やかな暖かさ
お天気が良く、吹く風も気持ちよく散歩日和です。
「○○さん、車いすで一緒に散歩に行かんかい? 天気いいし、 外 気持ちいいよ」と先生が誘います。
○○さんは、躊躇することなく「行こうかな...」と。
寒くないように身体を掛物で包んで、玄関まで介助し車椅子に乗せます。
体調がちょっといい日と、しんどい日があります。
ちょっと楽な時と、しんどい時... 一日の中でも、その調子は変動します。
患者さんには、「今ならできる(行けそう)」というタイミングがあります。
先生のお誘いと ○○さんのその時の体調... 今日は、そのタイミングが一致しました。
(他の患者さんでも、時々先生は気分転換に「散歩に行こう」と誘います。
...残念ながら「今日はやめとくわ」と断られることも多いのですが。。。)
ご主人が仕事に出かけている間、日中はお母さんが毎日来てくれています。
車椅子の○○さんと先生と私、3人で散歩に出かけます。
「行ってきまぁ~す」
散歩の間、お母さんはお留守番です。笑顔で見送ってくれます。
車いすの○○さん、横には先生がついて
ご近所の桜を眺めながら、
ゆっくりと ひと回り...
たわいもないことを話しながらのお出かけです。
‐‐‐‐そう、お花見に連れて行きたかったのです。
○○さん 「久々に外に出たわぁ... 風 気持ちいいねぇ。日差しはあったかいし」
「そや、髪の毛切って染めようかな?」
先生 「何色?」
○○さん 「前は金髪にしたりしたんよね」
先生 「似合ってそう... 今度 金髪の写真見せてな。
家に来てくれる美容師さんもいるし。
いつも行ってるところが来てくれると、一番いいのにね。相談しよか...」
また一つ、『したいこと』…希望が見つかりました。
あれから1年・・・桜の季節になりました。
「ホームケアクリニック 城北の杜」が開業して1年です。
出逢わせて頂いた患者さんやご家族のことを思い出します。
時には、落ち込むこともありますが、
○○さんの書いてくれた『 愛 』の書に背中を押されながら
3人で頑張っています。