和歌山市内の在宅療養支援診療所

お知らせ
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家族揃って ②「、、、戸惑うわ~」

人工肛門から出ている便は、わずかです。パウチの貼り替えは週2回、訪問看護師さんが行ってくれます。

しんどいながらも、体を拭いて着替えたり、頭を洗ったり、、、

森川さん(仮名)と相談しながら、訪問看護師さんがケアをしてくれています。

「頭を洗ってもらったらすっきりするしね。今日もお昼からお願いしようと思っているの」

洗髪を楽しみにしています。

高カロリー輸液は行っていませんが、その日の浮腫の程度や脱水の状況を

判断しながら点滴の量を調整します。

   

先生     「(訪問)看護師さん来てくれる時間まで、点滴少しだけ入れとこうか。

       来てくれた時に点滴終了して、髪の毛 洗ってもらったらいいね」

森川さん   「そうして下さい、お願いします、、、先生、、、スイカ🍉食べたらあかんかな?」

先生     「いいよ。食べても。『食べたらあかん』って言ってないやろぅ」

森川さん   「でも、病院の先生からは、止められたしね」

先生     「ここは、家やからね。。。食べたかったら食べていいよ」

森川さん   「ずっと『あかん』って言われてきたから、、、戸惑うわ~」と不安な表情

       「桃はいい?」

先生     「いいよ。ジュースにしてもいいし。

        飲み込んでしまうのが怖かったら、口に入れて、噛んで出したらいいし。

        心配だったら、ガーゼに包んで、ガーゼ越しに噛めばいいよ。」

森川さん   「冷蔵庫の上の棚に、桃🍑があるの。食べてみようかな」

冷蔵庫の上の棚には、教えてもらった通り、桃が一つありました。

ベッドに居ながらも、冷蔵庫の中身は把握しています。さすが、主婦!!

   

桃の皮をむいて、(訪問バッグに入れていた)ガーゼで絞って、桃のジュースを作りました。

私      「ストローとコップから どっちで飲むのがいいかな?」

森川さん   「コップで飲もうかな」

小さいコップに少しだけ桃のジュースを入れて、介助をします。

ゆっくりと、一口。そして一口。。。飲みました。

森川さん   「ジュースじゃなくて、やっぱり桃の実をそのまま食べたいね」

   

切った桃を、ガーゼに包んで渡します。

森川さんは、自分で手に持って、ガーゼ越しに噛んでいます。

先生     「おいしいかい?」

森川さん   「やっぱり噛むとおいしい。でも、吐くのが怖いから、今はこれだけでいいわ」

私      「残った桃は、絞ってコップに入れておくね。冷蔵庫の一番上の棚に置きました。

       訪問看護師さん来た時にでも、飲ませてもらってね。連絡しておくからね」

食べるために使えるように、ガーゼの予備を自宅に置きました。

  

ある日、、、

森川さんは、「うどんはあかんよね。ちょっと食べたい気がするけど。吐いたら怖いし」と言います。

続いて、「お父さんのベッドの横の棚に、カップうどんあるでしょ」と。

教えてもらった棚を確認すると、買い置きの『カップうどん』ありました。

(防災用に準備しておいたものです)

「汁は飲んでも大丈夫よ」「麺を食べるなら、少しずつよく噛んで」

「残りは、ご主人に食べてもらってね」と話しました。

   

病院に入院していれば、口から食べることは止められます。

食べる方法を工夫して、『食べたい』という気持ちを尊重しながら、自宅で過ごします。

「食べる」というほどには、量は入りません。

わずかでも、『食べたいと思うものを、口に入れる』  それが、森川さんの力になっています。

   

氷、栄養剤のシャーベット、スイカ、みそ汁のお汁、リンゴの擦ったもの、ゼリー

牛乳やコーヒー牛乳、梅ジュース、ピクルス(噛むだけ)  など

その日、その時の体調と相談しながら、口に入れています。

   

「娘の帰国する日が決まったの。それまでは頑張らないとね」と、森川さんが言います。

1週間後の予定です。