上中さん(仮名)70代の男性です。上行結腸癌で、肝臓にも転移があります。
訪問診療を開始して、2か月、、、
黄疸が一層強くなってきています。肝性脳症も現れています。
昏睡状態には至らず、つじつまの合わない言動もありますが、簡単な会話は可能です。
尿意や便意があれば、起きてトイレに行こうとします。
ベッドの位置からトイレまで、約3m、、、
ふらふらしながらも、ご家族の見守りと介助で何とかトイレに行っています。
便座🚽から立ちあがれず、座り込んでしまいます。
リモートワークに切り替えて、実家に戻られた次男さんが
お父さんをベッドまで連れ戻してくれています。
先生 「昨夜はどうやった? 寝る前の薬飲めたかなぁ。それでも、ガサガサして眠れてないかな?」
奥さん 「ずっと手を上げて動くし、体を右に左にバタバタするし、危ないから
私もベッドの上で、お父さんの横で寝たんよ。そしたら、朝方まで動かずに眠ってくれてたわ」
先生 「奥さん、ファインプレーやなぁ。添い寝してくれたんや。ありがとう」
奥さん 「私が横に寝ると、ベッドが狭くてスペースないから、動けんかっただけよ」
先生 「狭かったからと違うで。安心したんやと思うよ」
次男さん 「夜中にトイレ行こうと思って起きて、ふすま開けたら、ベッドで二人一緒に
寝てるし、びっくりしたわぁ」
先生 「写真 撮った?」
次男さん 「、、、写真? そんな発想なかったなぁ。撮っておいたらよかったんやね(笑)」
他所のお宅でもありました。
せん妄症状が出ている患者さん
「抱きしめて、トントン」していたら、落ちついて眠ってくれたということが、、、
人肌のぬくもりが気持ちよく、体が触れている安心感
『トントン』は、心臓の鼓動のように感じるのでしょうか。。。
安心できる存在に、安心できる環境
『安心感』は、患者さんの苦痛を減らす一つの方法なのです。