和歌山市内の在宅療養支援診療所

お知らせ
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ジレンマ(板挟み)

15時すぎに、秋本さん(仮名)宅に到着しました。

秋本さんは80代の女性で、胆のう癌で肝臓に転移があります。

ここ最近は、自分で動くことも難しくなり、眠っている時間も長くなっています。

    

今日は、予定の訪問診療の件数が多いところに、それぞれのお宅で処置が重なりました。

気持ちが慌ただしくなっている気がします。

玄関のドアを開ける前に、、、立ち止まって、深呼吸をゆっくりと2回

患者さんのペースに合わせられるようにします。

。。。。。。。チャイムを鳴らして、ドアを開けます。

   

家の中は、灯がついていません。

小さな声で、お名前を呼びながら入っていきます。

眠っています。しばらく横で、呼吸の状態を確認します。

 「秋本さん、、、」声をかけると、うっすらと目を開けてくれました。

 「こんにちは、、、城北の杜です」

    

しんどそうなのは、見ればわかります。

いつも通り、バイタルサインを確認します。

先生が部屋に入ってきて、声をかけて診察を行いました。

病状が一段と厳しくなっているので、先生は息子さんと隣の部屋でお話をします。

   

その間に、、、

口が乾燥し、声が出づらそうなので、スポンジブラシで口腔ケアを行います。

(さらに、自分自身の動作や声の掛け方をゆっくりにします)

水分も摂れてない様子なので、「お水。。。飲みますか?」と確認すると

ゆっくりと頷いてくれました。

ベッドの背を少し上げて、そばにあったお水をストローで一口ずつ

数回に分けて飲んでもらいます。

トイレに行くこともできないので、オムツを確認します。

パットに尿が出ていました。お尻を拭いてパットを交換します。

片付けをしていると

「。。。体、、、しんどい。。。」と、小さな声。

  

同じ姿勢で寝ており、自分で体の向きを変えることも難しく

全身の倦怠感が強くなっています。

「ちょっと、マッサージするね」と声をかけて、、、

下肢を動かします、、、、うとうとと眠り始めました。

(後10分でも、、、と思いつつも)時間の確保が難しく

姿勢や掛け物を整えて、訪問を終えました。

    

この時期、秋本さんの『しんどさ』は

十分な時間があったとしても、すべてを取り除くことは難しいと思います。

『後10分を確保したい気持ち』と『退室しなければならない』

そのはざまで、私自身の気持ちが揺れます。(申し訳ない気持ちになります。。。)

     

訪問車の中で、訪問看護師さんにすぐに連絡を入れます。

訪問診療時の状態と倦怠感がさらに強くなっていること

マッサージを十分にできなかったことも伝えます。

在宅チームのメンバーが、互いに協力しながら援助をすることで

秋本さんのしんどさが少しでも和らぐことを願いながら。。。

病院から連絡を頂いた患者さんの退院前カンファレンスに向かいます。🚗