北林さん(仮名)は、転移性肺癌の方です。
呼吸状態が悪化し入院していましたが、自宅での療養を希望されました。
退院当日、携帯用酸素ボンベを持っておらず、タクシーを降りて15m、息絶え絶えになりながら
自宅玄関にたどり着きました。
訪問診療を請け合い、3週間が経過したある日のこと。。。
先生が、奥さんに「そろそろ、仕事休んでもらった方がいいかな」と伝えました。
病院から退院してきたときも、そのお話をさせてもらっていました。
でも、北林さん自身が
「いずれ仕事を休んでもらわないといけないときがくるとは思いますが、今はまだいいですわ。
彼女には仕事を続けてもらいたいんです。
大事な仕事をしているので、できるだけ迷惑をかけたくないんですわ」と言われました。
奥さんは障碍者支援の介護職をされており、夜勤シフトが多くありました。
奥さんは、北林さんの状況を理解しながらも
その気持ちも尊重して、夜勤の仕事を続けてきました。
きっと夜勤に出て行くときは、後ろ髪をひかれる思いだったと思います。
「職場の人たちも理解してくれて助けてくれるんです。でも今夜の夜勤が終わったら
休めるように調整してみます」と奥さんは言ってくれました。
その晩です。
真夜中に、酸素マスクがはずれて、呼吸困難に襲われパニック状態になりました。
しんどさのあまり、自分で救急車🚑を呼び、通院していた病院に搬送されました。
その手には、、、石田先生の名刺を握りしめていました。
先生の連絡先をスマホの短縮番号に入れて、すぐに連絡がつくようにしていたはずなのですが。。。
パニック状態では無理もありません。
救急外来でも「(仕事中の)奥さんに迷惑をかけたくないから呼ばないで欲しい」と言ったようです。
肺炎があり、病院では入院を勧められました。
先生は連絡を受け、救急外来の先生と直接話をしました。
北林さんは、少し落ち着くと、自宅へ戻ることを希望され、連絡のついた奥さんと娘さんが
自宅に連れて帰ってきてくれました。
... to be continued