和歌山市内の在宅療養支援診療所

お知らせ
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花見に行こうよ! ②せん妄からの復活

リハビリの甲斐あって、このところ先生が訪問すると、毎回座って出迎えてくれます。

座っても血圧が下がらなくなりました。

「先生に会う前に身だしなみ整えて男前にしとかんとね」と訪問看護師さんに促されて、髭剃りも自分でやっています。

 

ところが、ある日伺うと、いびきをかいて眠っていました。

眠っている状態で呼吸を見ていると、舌が落ち込んでいつもと様子が違います。

声をかけると、うっすらと眼をあけました。

会話はできますが、呂律が少し回っておらず、言葉が聞きとりにくい感じです。

つじつまの合う会話もできますが、自分のペースで色々なことを話します。

『せん妄?』

皮膚の状態を見ると乾燥しており、つまんだ皮膚の戻りも悪く、脱水兆候が現れています。

 

 

奥さんに、この1週間の状態を確認します。

昔のお話を何時間もしていたり、ベッドの上で趣味だった釣りの仕草をしていたり、

突然立ち上がって歩いていたり...

言われてみれば、なんとなく様子がおかしかったとのこと。

 

せん妄の原因はたくさん考えられますが、まずは脱水を改善するため点滴を行うことになりました。

訪問看護師さんに点滴をお願いし、様子を見てもらいます。

 

いつもと違う○○さんの様子を見て、奥さんも不安が強くなります。

先生は奥さんに「せん妄」について説明し、おかしな行動の時にどう対応したらいいのかも伝えました。

 

 

3日後、様子を見るために訪問診療に伺いました。

いつものように部屋に入っていくと「おはよう!」とすっきりした表情です。

せん妄症状はなくなりました。

「復活してるやん‼」と先生。

○○さんはベッドの端に腰かけて、足を組んでいます。

(白い半そでのシャツとリハビリパンツ姿です。)

先生はベッドの横に置かれたポータブルトイレの座椅子に座ると、

二人で、コロナの話、野球の話、政治の話... 色々と話しています。

 

部屋の入り口の所に座った奥さんと私は、この様子を遠巻きにみながら、

「先生がポータブルトイレに座っているし、○○さんリハビリパンツ一丁やし

ちょっと笑える光景…。なんだか、ほのぼのやねぇ~」と、二人の会話を邪魔しないようにお話をします。

(実は、この『リハビリパンツ一丁』にも意味があります。

ズボンの上げ下ろしが間に合わないと汚してしまうことになり、奥さんに負担をかけてしまうからです。

○○さんなりの奥さんへの思いやりなのです。)

 

せん妄から早く回復して よかったよかった。。。

奥さんも笑顔で胸をなでおろしていました。

 

この後

先生の「○○さん、さぁ、リハビリ頑張って、桜見に行こなぁ~」で、本日の訪問診療は締めくくられました。

 

 

○○さん、ファイト です‼

おしゃれなリハビリシューズもゲットしました。やる気満々です。