和歌山市内の在宅療養支援診療所

お知らせ
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思い出の冊子

「先生、肉 食べたらあかんか?」と三木さん(仮名)

先生は「ええよ」「でも、胃がないからしっかり噛んでゆっくり食べてよ」と。

  

初回の訪問時には、前日にN病院から処方された麻薬の副作用で

吐き気があり、辛そうでした。

お話をしていても「吐きそうや」と、トイレに駆け込む状態でした。

食事も食べられていませんでした。

 

薬の調整がうまくいき、次に伺うと、吐き気はおさまっていました。

奥さんの運転🚗で、外出もできるようになりました。

「今日も、二人で『よってって』に行ってきたんや」と話します。

診察を終えて、先生が先に部屋を出ました。

三木さんは、ベッドの頭元に置いていた手のひらサイズの冊子を手に取りました。

(看護学校の学生さんが作成したものだとすぐにわかりました)

「これなぁ。。。手術したあと、学生さん作ってくれたんや」と見せてくれました。

 

胃切除術後におこる

『ダンピング症候群(動悸・めまい・冷や汗・腹痛・下痢などの症状)』を防ぐための食べ方など

食事についての注意点を書いた手書きの冊子でした。

「(W看護専門学校の)学生の湯川さん(仮名)って、知ってるかい?」

「N病院で入院した時、担当になってくれてね。優しい子やったわ」と話が続きます。

受け持ちの患者さんのためにと思って学生さんが作った冊子。。。

手術をして2年、、、こうしていつでも手に取れるところに置いてくれているのです。

私は、その冊子を見ながら。。。

三木さんが、その時の看護学生の思いを大切にしてくれていることがわかり

とても嬉しい気持ちになりました。(教職経験者としては・・)

 

看護学生にとって、受け持ち患者さんとの関わりは、とても貴重な体験なのです。

看護師として働きだすと、やりがいもありますが、悩みや葛藤もさらに多くなります。

そういった時、受け持ち患者さんとの出逢いやその時の思い出。。。

それが、看護を続けていくうえでの『心の支え』になるのです。

  

今の私たちも同様です。

『ホームケアクリニック 城北の杜』として関わらせていただいた

患者さんやご家族との出逢い。。。

それが、いつも私たちの背中を押してくれています。