中嶋さん(仮名)のご主人は、仕事を続けながら介護も頑張ってくれています。
夜は中嶋さんのベッドのすぐ横に布団を敷いて休んでくださり、眠れない日もあります。
いつものように中嶋さん(仮名)のお宅に到着すると
仕事から帰ったご主人が、家の前の掃き掃除🧹をしていました。
「お父さん、疲れてるのに、掃き掃除までしてるん」「大丈夫?」と声をかけると
「お母さんが毎日しよったからな。代わりにせんとな」と返事が返ってきます。
ご主人の姿を見て『向こう三軒両隣』、、、そんな言葉を思い出しました。
中嶋さんご夫婦のお人柄がわかります。
中嶋さんは、目を閉じている時間が長くなっています。
声をかけると、うっすらと目を開けてくれるときもあります。
娘さんは、「目を開けてる時間は、24時間で10分くらいかな。。。」と言います。
瞼を持ちあげるにも力が必要で、その力も無くなりつつあるのです。
先生が耳元で声をかけると、目は開けませんが、口元が緩み少しだけ笑みが見られます。
一見眠っているようですが、ちゃんと聞こえています。
そこに、ご主人が仕事から帰ってきました。
胸元のポケットに給料袋、、、今日は、お給料日です。(現金払いだそうです)
中嶋さんの耳元でゆっくりと
「お母さん。。。『第一の夫』。。。お父さん 仕事から帰ってきたよ。
今日は、お給料日です」と声をかけます。
すぐに、目がしっかりと開きました。(すごいことです)
ご主人は、「お母さん、ただいま。ほら、給料もろてきたぞ~」と言いながら
中嶋さんの右手に給料袋を持たしてくれました。
すると、、、小さな声ですが
「、、、お父さん、、、ありがとう」と言いながら、ニコっと笑いました。
「給料袋は自分で開けたことない。いつもな、もらったら
そのままお母さんに渡しとったんよ」とご主人。
意識がはっきりとせず、眠っていることが多いのに
この時ばかりは、ご夫婦のいつも通りのやり取りです。
ほのぼのとしたこのやり取りに、ご夫婦の歴史を感じます。
給料袋を手にした中嶋さんの姿で、傍にいたみんなが、またまた笑顔になりました。
「お父さん、、、ありがとう」
この時の中嶋さんの言葉は
「お母さんを最期まで家で看てやりたいんや。その覚悟はできてるよ」と言って
日々 頑張ってくれているお父さんへの感謝の言葉だとも感じました。