和歌山市内の在宅療養支援診療所

お知らせ
お知らせ

復活!  ③給料日

中嶋さん(仮名)のご主人は、仕事を続けながら介護も頑張ってくれています。

夜は中嶋さんのベッドのすぐ横に布団を敷いて休んでくださり、眠れない日もあります。

  

いつものように中嶋さん(仮名)のお宅に到着すると

仕事から帰ったご主人が、家の前の掃き掃除🧹をしていました。

「お父さん、疲れてるのに、掃き掃除までしてるん」「大丈夫?」と声をかけると

「お母さんが毎日しよったからな。代わりにせんとな」と返事が返ってきます。

ご主人の姿を見て『向こう三軒両隣』、、、そんな言葉を思い出しました。

中嶋さんご夫婦のお人柄がわかります。

   

中嶋さんは、目を閉じている時間が長くなっています。

声をかけると、うっすらと目を開けてくれるときもあります。

娘さんは、「目を開けてる時間は、24時間で10分くらいかな。。。」と言います。

瞼を持ちあげるにも力が必要で、その力も無くなりつつあるのです。

先生が耳元で声をかけると、目は開けませんが、口元が緩み少しだけ笑みが見られます。

一見眠っているようですが、ちゃんと聞こえています。

  

そこに、ご主人が仕事から帰ってきました。

胸元のポケットに給料袋、、、今日は、お給料日です。(現金払いだそうです)

 

中嶋さんの耳元でゆっくりと

「お母さん。。。『第一の夫』。。。お父さん 仕事から帰ってきたよ。

今日は、お給料日です」と声をかけます。

すぐに、目がしっかりと開きました。(すごいことです)

ご主人は、「お母さん、ただいま。ほら、給料もろてきたぞ~」と言いながら

中嶋さんの右手に給料袋を持たしてくれました。

すると、、、小さな声ですが

「、、、お父さん、、、ありがとう」と言いながら、ニコっと笑いました。

「給料袋は自分で開けたことない。いつもな、もらったら

そのままお母さんに渡しとったんよ」とご主人。

  

意識がはっきりとせず、眠っていることが多いのに

この時ばかりは、ご夫婦のいつも通りのやり取りです。

ほのぼのとしたこのやり取りに、ご夫婦の歴史を感じます。

給料袋を手にした中嶋さんの姿で、傍にいたみんなが、またまた笑顔になりました。

  

「お父さん、、、ありがとう」

この時の中嶋さんの言葉は

「お母さんを最期まで家で看てやりたいんや。その覚悟はできてるよ」と言って

日々 頑張ってくれているお父さんへの感謝の言葉だとも感じました。