和歌山市内の在宅療養支援診療所

お知らせ
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母の願い... 息子の思い  ③『思いやり』

少しずつ動くことが辛くなってきた○○さん…

私はベッドの傍で、マッサージをしながら話を聴きます。

    仕事を始めて、大変だったこと

  息子さんが、自分が思っていたより早くに独立してしまい、ちょっと寂しかったこと

    退院に合わせて、息子さんが自宅に戻ってきてくれてうれしかったこと

    イオンの中を、腕を組んで歩いたこと

  息子さんが、几帳面すぎて疲れてしまわないかと心配なこと

                                  等々

少し涙ぐむ様子があったので、部屋の引き戸をそっと閉めます。

「泣きたかったら泣いていいよ」と伝えると、

「死にたくないよぉ~。悔しいよぅ…。もっと生きてたい…」と泣き出しました。

二人で抱き合って泣きました。

しばらくして…(泣きやみ)…「あとどれ位?」と聞かれました。

 

人の最期がいつになるのか、ある程度予測はできても、実際にはわかりません。

そのことを伝え、

「ごめんね。……厳しい言葉になるけど、そんなに遠い先ではないと思うよ…。

何か、息子さんにしてあげたいことはある?」と尋ねると

「最期まで泣き顔を見せたくない……息子には笑顔の私を覚えててほしい!!」と、笑って話されました。

以前は、「自分でトイレに行けなくなったら病院に入院する」と言われていたので、

今のお気持ちを確認すると

「本当は、ここにいたい。息子の傍にいたい…」と言われました。

 

先生が部屋に入ってきました。○○さんの傍にいます。

 

息子さんも、動けなくなってきたお母さんを見るのは辛いと思います。

一人で介護を行っているので、疲れも出てきます。

(もちろん訪問看護師さんは細やかに手伝ってくれています。)

息子さんに、お母さんにしてあげたいことはないか確認しました。

 

「お風呂に入れてあげたいです」

「最期まで、ここで母の面倒をみる覚悟はしています」

「今までは、食べたいものを言ってくれていたのに、言ってもらえないのが

 ちょっと寂しいです…」と話してくれました。

すぐに○○さんと相談し、訪問入浴をお願いすることになりました。