年末に下血をして、入院となりました。
胃カメラや大腸カメラを受けましたが原因は定かでなく、病院で輸血をして退院となりました。
一般的に がんが原因で出血した場合、出血はおさまらないことが大半で退院に至ることは稀です。
そのため退院後の外来診察で、今後も出血を起こすことが心配されるからと、病院の主治医から訪問診療を勧められました。
診察が終わるとその足で娘さんと一緒にクリニックの相談外来に来てくれました。
手編みのストールを首元に巻き、とても似合っています。
さよ子さん(仮名)は「もう、治療はいいわね」と話されています。
御年86歳。
長年、がんと向き合ってこられました。
膀胱がん、肺がん、乳がん、胃がん、リンパ腫... すべて乗り越えてこられました。
すい臓を患って4年余り... すごいことです。
すい臓がんが悪化したことが出血の原因と結論づけられ、
これ以上の抗がん剤治療は行わないこととなりました。
週1回の訪問診療が始まりました。
訪問時には、おしゃれモンペを着ていて、とても似合っていて、かわいいです。
こたつの前に座り、好きな編み物や読書をされています。
今日は、かぎ針でバッグを編んでいます。
「肩も凝らないのよ。二目編んで、ここに入れて…こうするでしょう」
かなりのスピードで編んでいきます。。。
はじめて伺った時に、排便の状態をお聞きすると、
「出ないのが怖いでしょ。この水薬※1を67滴入れて寝る前に飲んでいるの。
病院に入院した時ね、便が出なかったでね、薬 もっと頂戴っていうのに
看護師さん10滴からって... 出ることないわね。。。
いくら言っても飲ませてくれなかったの」と。。。
ラキソベロン67滴※1 驚愕の使用量でした。
※1ピコスルファートナトリウム内用液:大腸刺激性下剤 通常は10~15滴で使用。
薬を使わないと便がでないのが、難点です。
先生とさよ子さんが相談をしながら、たくさんある薬も整理することになりました。
娘さんも先生も私も、いつ出血するのかとひやひやしていますが
さよ子さんは、いたってマイペース。穏やかに過ごされています。
訪問診療を開始して1カ月余りが過ぎ、下血があったことすら忘れかけてたある金曜日の夕方
娘さんから先生に
「夕食の後、トイレに行こうとして、意識がなくなったの...」と連絡がありました。
『出血した?』
to be continued...