病院の患者総合支援センターで働く男性看護師の川野さん(仮名)。
在宅医療への連携を、サポートしてくれます。
退院前カンファレンスを始めるときに
緊張されている患者さんやご家族の気持ちが、少しでも和らぐようにと
配慮されていることがわかります。
ゆっくりとした口調で、患者さんとご家族に語りかけるようにしながら
話し合いをすすめてくれます。
「ベッドから、トイレまで2~3mぐらいって言うてたけど、そこは大丈夫かな?
今の調子やったら、歩いて行けるって思うけど、、、」と。
患者さんの日常生活動作や家の構造などをふまえての会話です。
食べること、排泄すること、入浴すること、私たちがあたり前に行っていること
それが、今の病状から行えるのか、そういったことを把握して
家での生活を想定しながら、お話がすすんでいきます。
患者さん自身やご家族が気にしていたことや
不安に思っていることなども再確認しながら、、、
川野さんの語りかけに、時には患者さんやご家族に笑みがこぼれ
その場の雰囲気がなごむこともあります。
先生と私は、知っておきたい情報を的確に教えてもらえるので、いつも助かっています。
ある日、川野さんに
「病気や治療の状況はもちろんですが、患者さんやご家族のことをしっかりと
把握してくれているので、ありがたいです」とお伝えしました。
川野さんは、「この部署で、退院支援に関わるようになったときに
先輩の看護師さんに教えてもらったんです。
その人が退職されるときに、『今の僕は、何点ぐらいですか?』って聞いたら
『30点』って言われたんですよね。まだまだです」と、笑いながら話してくれました。
その病院の退院支援を、第一線で引っ張ってきたその看護師さんからみれば
その時点では30点、、、
それからの数年、、、先輩看護師さんから学んだことを基に
川野さん自身が、日々考えながら努力されてきたことが
今の退院支援につながっていることを感じました。
その先輩看護師さんが、川野さんの今の状況を知る機会があれば
きっと、彼の成長を嬉しく思うに違いありません。
『看護を紡ぐ』という言葉があります。
少し先を歩く者から、共に働く仲間に、経験をふまえた『大切な想い』をつないでいく。
改めて、その大切さを実感しました。