膵癌で、イレウス(腸閉塞)の症状がある山野さん(仮名)は60代の女性です。
ある日の訪問のこと、娘さんが
「宮田さんのバッグは『ドラえもんのポケット』みたいやって、
このあいだ、先生が言ってましたよ~」と。
先日、「先生、この潤滑油のゼリー、もうすぐなくなるので、1本欲しいです」と娘さんに言われて、
「ごめん、今日は持ってないなぁ」と返事。
確かあったはず。。。訪問バッグの中を探すとゼリーが見つかり、その場でお渡ししました。
次に伺うと、娘さんが私の目の前に立ち
「このテープ、1個 欲しいです」と、両手を揃えて差し出されました。
(今日は、持ってないかも。。。確か使った気がする??)
「ちょっと待ってね。探してみるね」と言いながら
バックの中、テープを入れている定位置を探ると、、、☆ありました☆
「種類 違うけど、これで大丈夫かな?」と言うと「大丈夫です~☻」と。
翌日、認知症の久子さん(仮名)のお宅に伺いました。
「久子さ~ん こんにちは!」と声をかけながら、お部屋にいくと
「そのバッグ、重たそうやねぇ」と。
「わかる?」と返すと「わかる。わかる。体 傾いてるし」と言われました。
クリニックの看護師が、何をそんなにバッグに持っているのか?
「これ、必要ないかな?」と思うものもありますが、、、
その日、訪問する患者さんの状態を考えると、さらに追加してしまいます。。。
普段は、訪問看護師さん達が、患者さんのことをきめ細やかに援助してくれています。
それでも、訪問診療で伺ったとき、皮膚が乾燥していればクリームを塗って
マッサージをしますし、スポンジブラシで口腔ケアをすることもあります。
苦痛を感じていれば、少しでもその苦痛が軽減できるように
援助させてもらっています。
そのような時に備えて必要な物、、、たくさん入っています。
『体が傾くほどって?。。。』と思い、、、バッグの重さを量ってみると、5㎏ほどありました。
『ドラえもんのポケット』と言われても、入ってないものは出せません。
私の中では、木村拓哉さんのHEROに出てくるバーのマスター
田中要次さんが言うセリフ 「あるよ~」の感じかな。。。
そんなことを思いながら、、、
今朝もバッグの中身は減らせませんでした。