「自分で家の整理を早くしたい」と、退院を希望されました。
始めて訪問すると、椅子に座り、ほこりまみれになって座敷を片付けていました。
「はッ、はッ」とかなり息があがっています。
※全身麻酔にストップがかかるほど呼吸状態が悪いと聞いていました。。
片付けが、ひと段落ついたところで診察をします。
呼吸回数が多く、聴診すると、息が吐けていないことがよくわかります。
息をしっかり吸い込むことも、ゆっくり吐くことも難しそうです。
「息はしんどくないの?」と聞くと、「んんまぁ、しんどいなぁ。。。」と。
ろうそくの火を消す時のように口をすぼめて
ゆっくりと息を吐いてもらいながら、呼吸を整えてもらいます。
患者さんと相談し、
週に1回のリハビリテーションを行うことになりました。
自宅に理学療法士の先生に来てもらい、訪問リハビリが始まりました。
3か月後のある日、
訪問診療に伺ったとき、ちょうどリハビリを行っていたのでその様子をみせてもらいました。
「最後にここ(ベッドを置いている部屋)から、隣の部屋の端まで、往復しましょうか?」理学療法士さんが声をかけます。
六畳 二間分の距離。 結構なスピードでの早歩きです。
80歳とは思えないほど、背筋がスーッと伸びていています。
「はぁッ」、「はぁッ」、「はぁッ」とリズムよく、しっかり息を吐きながら、理学療法士さんの声かけに合わせて歩いています。
かなり、負荷がかかっているのが分かります。
2往復して、本日のリハビリテーションが終了しました。
息が整うのを待って、
体温や脈拍、呼吸の状態などを観させてもらいます。
週に1回のリハビリですが、数か月続けてきた成果がでています。
呼吸が深くなり、息もしっかり吐けるようになっています。
「すごいねぇ。リハビリ頑張ってくれてるから、しっかり呼吸できてるよ」と伝えると、
「そうか... 吐けてるか? だいぶ息しやすくなったんや」とにっこり。
ある日伺うと...
表情がいつもと違って なんだかしんどそう???
「なんかしんどそうなお顔つきしてるけど、昨夜眠れなかったの?」と尋ねると
「よう、眠ったよ...」「そうかぁ、そんな顔つきしてるかぁ」との返事。
ちょっと間をおいて
「実はな... 昨日、雑賀崎漁港へ魚を買いに行ってきたんや」
「漁港の事務所に電話して、漁に出てること確認してから行ったんよ。。。」と楽しそうに話してくれます。
港には、漁から帰った船が着き、それぞれの船の前に、水揚げされた魚が並べられるそうです。
一般の人も購入できるので、魚をみながら港を歩いてまわったとのこと。
「『ほうぼう』と『足赤エビ』と... 全部で4種類 買ってきたんよ」
「そうやなぁ... 2時間半ぐらい歩いたなぁ。それでちょっと疲れたんやな」
驚きです‼
2時間半も歩けるようになっているなんて、リハビリテーションの成果はすごいです‼
(理学療法士さん、いつもありがとうございます。)
心配していた先生と私に
「(しんどそうな顔つきの)原因がわかって安心したやろう...今日はゆっくりするわ」と笑っています。
では、では、、、お疲れさまでした。また、来週伺いますね。
その時の状態に合わせて
自分でできることは、できるだけ自分で行えるように
日常生活が少しでも過ごしやすくなるように
したいと思うことが、少しでもできるように
そのためのリハビリ...『継続は力なり』です。