クリニックの玄関を入ると、「城北の杜 愛」の文字が目に入ります。
これは、クリニックとして関わらせて頂いた最初の患者である○○さんから、ご寄贈頂いたものです。
初めてご自宅に訪問させて頂いたとき、「入院は絶対嫌です。私のことより、私が亡くなった後の主人のことが気がかりで…」とお話しされていました。
その時の凛とした姿を思い出します。
ある日、書道をされていたことを知った先生が、クリニックのために書を書いてほしいと
お願いをしました。
病気と付き合いながら生活を送ることは楽ではありませんが、
少しでも希望や目標を持つことができれば、それは確実に生きる力につながります。
その目標や希望とは
「〇〇が食べたい」「お風呂に入りたい」「散歩に行きたい」「友人に会いたい」…等々。
ご本人やご家族の方が望むことや好きなことなら何でもいいのです。
だんだんと自分で動くこともむずかしくなってきていましたが、
「書く文字は決めたんよ。自分のタイミングで書くから・・・」と。〇〇さんと相談しながら、
ご主人が必要なものを準備してくれました。
ある朝、「書いたよ。見てぇ…」と、週末に書き上げた「愛」の書を見せてくれました。
手浴を行いマッサージをしている私に、「興一郎(先生の前ではこうは呼んでいませんが…)が夢に出てきてね。早く書けって追いかけてきて、怖かったんよ。」と笑いながら話してくれました。隣の部屋にいた先生にそのことを伝え、皆で笑いました。
毎朝フレームを拭き、「愛」の文字を見ながら、訪問させて頂いた時と同じように、
「〇〇さん、おはよう!!」と声をかけます。そして「今日も一日よろしくお願いします。守って下さいね」で、一日の仕事が始まります。
「愛」の文字に込められた〇〇さんの想いや願いを感じながら、初心を忘れず・・・。
城北の杜 スタッフ3名 今日も頑張ります!!