和歌山市内の在宅療養支援診療所

朝、訪問の準備をしていると、クリニックの電話が鳴ります。

「○○やけど…　便出えへんので、座薬入れていいか？」と。

 

前回の訪問時に、薬を飲みすぎて腸の動きが活発になっていました。

薬を飲んだ後、腹痛も出ると言われていたので、

先生からマグミット^※1の内服を3日間中止するように言われていました。

※1 マグミット：CMでもやっている非刺激性便秘薬。

 

マグミットを3日間中止していたかを確認しました。

○○さん　「先生の言うこときいて、3日止めてたよ。それから、便出てないんや。

　　　　　　お腹張って、しんどうてな。冷蔵庫に入れてある座薬使っていいか？」

私　　　　「座薬　お尻から入れたことある？　自分で入れられる？」

○○さん　「……もう入れたんよ」

私　　　　「え？　座薬お尻から入れたあと？...　入れて、どれくらいの時間たってる？」

○○さん　「15分くらいやな...　まだ出やんのや」

私　　　　「座薬入れてから、トイレに行ってない？おなら出てない？」

○○さん　「行ってないよ」

私　　　　「パンツに白いドロッとしたものついてなかったら、ちゃんと座薬入っていると思うよ。

　　　　　　15分じゃ効いてこないと思うから、もう少し様子見てくれる…」

○○さん　「そうか…　まだやな」

私　　　　「便出ないからって、次から次に、座薬入れるのはやめてねぇ」

○○さん　「よし、わかった」

気が済んだのか、用件が済むと、ブチっとすぐに電話が切られました｡｡。

 

お通じの調整はとても大切なことです。

 

数日後、訪問した時に排便の状態を確認しました。

座薬を1回だけ使って、便が出たそうです。

マグミットはお昼のみ内服して、うまく調整ができていました。

ところが、前回 胃の調子が悪く、お薬を処方されているのですが、

今日もまだ胃の不調を訴えられています。

 

先生　　　「この薬飲んでくれてるかい？」と確認します。

○○さん　「飲んでるよぅ、毎日朝ご飯の後にな」

先生　　　「朝だけ？」

○○さん　「朝だけよ」

先生　　　「この薬、袋に何って書いてる？　毎食前って書いてないかい？」

 

薬剤師さんが薬の袋に500円玉大の大きな文字で、

「胃によく効く薬」「毎食前」と書いてくれています。

でも、処方通りには飲めていませんでした。（よくあることです。）

○○さん　「３回かぁ…」

私　　　　「朝ご飯前、お昼ご飯前、夕ご飯前の3回ね」

○○さん　「わかった…　一日3回な。ちゃんと飲むわ」

 

ご高齢の方にとって、薬の管理は大変なことです。

飲み忘れ、飲みすぎ、飲み間違いなどが問題になります。

座薬を『座って飲む薬』と思って、椅子に座って口から座薬を飲んだという

嘘みたいな話も　実際にはあります。

薬の効果が得にくかったり、効きすぎたり…　副作用も出やすかったり…　注意が必要です。

複数の病院で出された薬が、たくさんあまっているということもしばしば…。

 

次に訪問した時は、きちんと食前の薬も飲んでくれており、胃の調子も改善していました。

お一人なので心配なところもありますが、ケアマネジャーさん、薬剤師さん

ヘルパーさんなどの力も借りながら、デイサービスに行ったり、シルバーカーで外出もできています。

 

金曜日の夕方、クリニックの電話が鳴りました。

○○さんです。

今までなかった症状が出てきたとのこと。

「前に、脳梗塞もやってるから気になってな。土日になるし、その前に電話したんや」と言われました。

明らかな脳梗塞の症状はありません。

「年に1回は脳の検査しておきたいんや。検査の予約して欲しい...」

以前検査してからまだ半年も経っていません｡｡｡

お一人で生活していると不安もつのるのでしょう。お話をきくと少し安心されたようで、

「様子みるわ。なんかあったら電話するわ」といつものようにブチっと電話が切られました。

○○さんは、何か気になることがあれば、クリニックに電話をかけてくれます。

私が訪問で不在のときは、事務の北端さんが、いつも話を聴いてくれています。

 

月曜日の朝、クリニックから○○さんに電話を入れます。

なかなか電話にでないので、ちょっと心配になりながら…。

少し時間をおいてかけ直します。

耳が遠い（難聴）ので、呼び出し音が聞こえてないのかも…。

しばらく鳴らしていると、電話に出てくれました。

元気なお声で「土日も変わりないよ。あれからマシやから、このままでいけそうや。おおきによぅ」

と、すぐに電話が切られました。（笑…いつも通りです。）

 

薬剤師さんやケアマネジャーさんにも、症状が改善したことを伝えます。

みんな、一安心…　よかったです。