お昼前に訪問に伺うと、ベッド横のテーブルに、空き缶がポツンと置かれています。
「今、ビールを頂いてましたぁ~」と元気な声で話してくれます。
配食サービスのおかずを酒の肴に、
太陽の光が降り注ぐ暖かい部屋で、今日も一杯やっています。
ビールが大好きな○○さん…至福の時です。
ビールが入って、いつも以上に舌好調で、若かりし頃のお話や
施設に入所されているご主人との馴れ初めも聞かせてもらいました。
勤め先の看板娘で、ご主人に見染められたようです。
先日、訪問に伺うと、テーブルの上に空き缶がありません。
「なんか、食事がすすまんのでね。今日は、飲んでませ~ん」と。
お弁当を確認すると、ご飯2口、おかず3口程度しか、手をつけていません。
微熱があります。水分摂取も足りず、皮膚が乾燥しています。脱水気味です。
ちょっと心配・・・。
高齢者の方は、症状に現れるのが遅くなり、
症状が出たときには悪化しているということがあります。
「なんか変…」「いつもとちょっと違う」は、要注意のサインです。
その場で、息子さんが買ってくれているお茶をコップに1杯飲んでもらいました。
数日間、抗生剤と解熱剤の内服を開始します。
先生は、『水分はペットボトル1本(500㎖以上)を目標に』と
○○さんに説明しました。
すぐに、先生から訪問看護師さんに、訪問診療時の様子と指示内容が伝えられます。
毎朝、毎夕、訪問看護師さんが状態を観察し、人工肛門のケア、排便の調整、
薬の内服介助、入浴の介助などを行ってくれています。
水分摂取も促してくれます。
1週間後、訪問に伺いました。 微熱も治まり、本日絶好調です。
「ビール…頂きまぁ~す!!」
「調子がいい時は、ちょっと家の中で動いてるよ。こけたらあかんから気をつけてるよ」と。
「良かった…良かった…」と胸をなでおろす、医師と看護師一同です。
○○さんにとって、『ビールを飲む』は、健康のバロメーターですね。